イメージの心理臨床学研究室
鶴田 英也 准教授
イメージという言葉自体は皆さんにとって使い慣れたものだと思います。心理学という学問の領域の中ではイメージのとらえ方は様々で、たとえば認知心理学と臨床心理学の間でも考え方は違いますし、臨床心理学の中でもイメージへのアプローチは異なります。私はイメージの特性を多義性、全体性、変容性ととらえ、イメージ自体がもっていると考えられる治療的可能性について探求しています。中でも、木の絵を描いてもらうバウムテストという心理検査がありますが、そのバウムイメージが研究の主たる対象です。


研究室の名前はイメージの心理臨床学研究室です。聞き慣れない言葉かもしれませんが、臨床心理学は心理学の一つであるのに対して、心理臨床学は臨床にウェイトを置いた学問だと思ってください。そして私の主たる研究テーマは、バウムテストをはじめとする描画や箱庭、遊びや夢、物語などに秘められた、イメージの治療的可能性を探っていくことです。題材は絵本や昔話、マンガやアニメや映画や小説など多岐に渡ります。私はイメージの特性を多義性、全体性、変容性と考えていますが、研究室ではこのイメージの特性を大切にする視点から、あらゆるこころの事象にアプローチしていきます。

京都大学大学院教育学研究科臨床教育学専攻博士後期課程修了
京都大学大学院教育学研究科臨床教育学専攻助手
梅花女子大学現代人間学部講師、准教授
現職に至る。
【受験生の方へ】
受験勉強では、一つの問いに一つの答えを導き出すことを学びます。しかし、その先の大学での学びではむしろ、答えのない問いにぶつかったり、問い続けるという体験が大切になってきます。そこで必要とされるのは、あれかな、これかなとさまよったり試したりする、いわば遊び心のようなものです。そうした学びを満喫するためにも、まずは目の前の受験勉強に頑張って取り組んでください。
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研究主題・研究業績を見る
<研究主題>
1、 バウムのコスモロジーをめぐる研究
① バウムテストの基礎研究
② バウムの事例研究
③ バウムの理論研究
④ バウムをめぐるフィールドワーク2、 イメージの心理臨床
描画、箱庭、夢、遊びを素材にして3、 心理療法のプロセス
イメージ・関係性の変容、反復というテーマ<研究業績>
【著書】
鶴田英也(2014)バウムという投影法――共感するバウム『心理療法における「私」との出会い』角野善宏他編 所収 pp.136-145
鶴田英也(2007)心理臨床の具体(3):バウム.『よくわかる心理臨床』皆藤章編 ミネルヴァ書房 p118-129
鶴田英也(2005)第2章1 本研究の目的と位置づけ ~バウムとの関わりの諸相~.『バウムの心理臨床』山中康裕・皆藤章・角野善宏編 創元社 p152-181【論文】
鶴田英也(2016)書評『臨床ナラティブアプローチ』遊戯療法学研究第15巻第1号
鶴田英也(2014)バウムのコスモロジー④ 杖立伝説とバウム ―深層心理学的視点からのアプローチ― 神戸女学院大学論集第61巻第2号 pp.181-194
鶴田英也(2008)バウムのコスモロジー① -屋久杉の根づきの二重性-.梅花女子大学大学院心理・教育相談センター紀要2・3号p3-6
鶴田英也(2007)バウムのコスモロジー② ―根の国再考―.梅花女子大学現代人間学部紀要第4号 p67-73
鶴田英也(2006)バウムのコスモロジー序論.梅花女子大学現代人間学部紀要第3号 p33-42
鶴田英也(2004)心理療法において何が始まるのか ~転移とラポールと器~.京都大学カウンセリングセンター紀要 第33号 p31-43
鶴田英也(2002)キルケゴールの反復と固有名.日本病跡学雑誌 第63号 p64-73 -
卒業論文題目
童話「人魚姫」についての心理学的考察
バウムテストの描き順と性格特性について
映画「インサイド・ヘッド」にみる想像上の仲間の役割について
しつけの認識とパーソナリティとの関連性について
色彩が音楽の印象に与える影響について
魚に対する親和性とパーソナリティ
「保育園落ちた日本死ね!!!」の心理
『吉備津彦と温羅』の心理学的解釈
映画「キリクと魔女」の心理学的解釈
だてマスクと対人関係の関連に関する実験
サセンペン(韓国の一部過激なファン)について
女の子の心理的成長と魔法についてー漫画、アニメ分析を通じてー
発達障害とその周囲との関わり 『ハチミツとクローバー』を題材として
女子大生における化粧の自己意識に関する研究
かかしのイメージについての心理学的文献考察ほか