子ども臨床心理学研究室
須藤 春佳教授
「子どもの心」(児童期~思春期)を取り巻くさまざまな現象を取り上げ、心理臨床的、発達的視点から考えていきます。具体的には、遊びや作品(絵画や日記)、友人関係などを扱ったり、子ども時代の心的発達と子どもの心をとりまく問題(不登校やいじめなど)とその修復(遊戯療法など)、さらには映画や文学作品を通して、多角的に子どもの心にアプローチします。


<最近のトピック>
・“『思い出のマーニー』にみる思春期女性の心の変容-移行期の心を支える想像の仲間・親友と、母なるものとのつながり”が「ユング心理学研究」第15巻に掲載。英国作家Robinson, J.による児童文学作品を題材に、主人公アンナの心の成長や変容と、その契機となる少女マーニーとの出会いや関係性を通して考察したものです
「ユング心理学研究」須藤教授の著作紹介
・ドラゴンボールオフィシャルサイト
ドラゴンボールのトランクスと悟天の関係について、前思春期の親友関係という切り口から考察しました。
「トランクスと悟天は理想のコンビだった?臨床心理学の専門家が2人の仲を解説したらマジで親友だった」
私自身はこれまで、前青年期の同性親友関係「チャムシップ」を取り上げ、親友関係が人間の人格形成における意義や、心の傷の修復に寄与するさまを探求してきました。親友とは、10歳以降の子どもが自分を作り上げる過程で重要な存在です。皆さんには親友がいたでしょうか?その親友とはどのような経験を分かちあってきましたか?親友とは、ある時期において自分と分かちがたく結びついている存在であり、自分を照らし出す鏡のような存在です。
大人になっても、子ども時代の心は生き続けるもの。大人の心の中にある子ども時代の心にもアプローチします。私のゼミでは、自身の子ども時代を振り返ったり、現代を生きる子どもの心の豊かさやその問題(生きにくさ)を探求したり、それに対して大人はどのように関わればよいのか、「友だち親子」という関係は親子関係と言えるのか?などを探っていきます。

<親友関係について詳しく知りたい方はこちら>
・「思春期の子どもの心をはぐくむ“チャムシップ”とイマドキ親子の関係とは」
思春期の子どもの心を育む"チャムシップ"とイマドキ親子の関係とは | わからないから、おもしろい。
・「9歳前後からの親友関係」が子どもの自立心を育む
「日経xwoman」須藤教授Web記事

京都大学大学院教育学研究科博士後期課程修了、京都文教大学臨床心理学部講師を経て現職に至る。
- 学位 博士(教育学)
- 専門分野 臨床心理学
【受験生の方へ】
大学での学びにおいて大事なのは、「探究」です。知識を自分の中に入れるだけでなく、自ら疑問をもち、考え、感じ、体験し行動するなかで、自分自身が主体的に取り組むテーマを探すことが求められます。受け身ではなく、主体的にかかわる姿勢を身につけられることを期待しています。
-
研究主題・研究業績を見る
<研究主題>
1.前青年期の親友関係「チャムシップ」に関する心理臨床学的研究
2.児童期から思春期の友人関係(発達的変遷とその問題)
3.プレイセラピー(遊戯療法)の実践、教育、研究<研究業績>
【著書】
[単著]
・前青年期の親友関係「チャムシップ」に関する心理臨床学的研究 風間書房 2010.
[共著]
・視覚障害をもつ子どもの遊び 日本遊戯療法学会編 「遊びにみる子どもの心」所収 日本評論社, 2014.
・「チャムシップ関係」という視点からみた心理療法(皆藤章・松下姫歌 編 「心理療法における「私」との出会い」所収) 創元社,2014.
・ 視覚障害をもつ子どもの遊戯療法 (伊藤良子他編「身体の病と心理臨床」京大心理臨床シリーズ第8巻 所収) 創元社 2009.【論文】
[単著]
・「『思い出のマーニー』にみる思春期女性の心の変容-移行期の心を支える想像の仲間・親友と、母なるものとのつながり」ユング心理学研究」第15巻『共感力のゆくえ』,2023
・「『親子関係の友だち化』の検討 ― 青年期女子の母娘関係と自尊感情を通して」神戸女学院大学論集 第68巻1号, 2021.
・「女子大学生の友人関係とSNS コミュニケーションの特徴―気遣いと心理的居場所感に着目して―」神戸女学院大学論集 66巻第2号,2019.
・「プレイセラピー(遊戯療法)の治療要素と治療効果に関する研究-国内と海外の研究を通して-」神戸女学院大学大学院人間科学研究科心理相談室紀要 第19号, 2018.
・「青年期のバウムテストの特徴と,チャムシップ体験・想像の仲間体験との関連」心理臨床学研究 第35巻4号, 2017
・「友人グループを通してみる思春期・青年期の友人関係」神戸女学院大学論集 第61巻1号,2014.
・「プレイセラピーをはじめて学ぶ-臨床心理面接特論での実習における大学院生たちの学びを通して-」 神戸女学院大学大学院人間科学研究科心理相談室紀要 第14号,2013.
・「親友関係の光と影」 神戸女学院大学論集 第58巻第2号,2011.
・「“親友関係”についての一考察 ―文化・社会・心理学的視点からの検討―」 京都文教大学 臨床心理学部研究報告 第1集, 2009.
・「Chumship形成という観点からみた思春期女子との心理面接過程」 心理臨床学研究第26巻1号, 2008.
・「登校しぶりをきっかけに来談した、視覚障害女児とのプレイセラピー」 遊戯療法学研究第8巻第1号, 2009.
・「前青年期の「chumship体験」に関する研究--自己感覚との関連を中心に」心理臨床学研究 第20巻6号, 2003. 他[共著]
・「学校現場における事例の見方や関わり方にあらわれる専門的特徴--教師と心理臨床家の連携に向けて」心理臨床学研究 第26巻2号, 2008.
・「学校現場における教師と心理臨床家の「視点」に関する研究」心理臨床学研究 第25巻4号, 2007. 他 -
卒業論文題目
・SNSにおける理想自己と自己評価および自己形成意識の関連について
・読書中の感情反応と読者の共感的感情反応の関連について
・現代青年のキャラづくりを介した友達付き合いが友人関係に及ぼす影響―キャラの種類別にみる居場所感・友人関係満足感・ストレス―
・女子大学生におけるTwitterでの行動の検討―満たされない自己と対人依存欲求の観点から―
・親からの言葉かけと期待の種類が期待の受け止め方と自己有用感に与える影響について
・青年期女子の友人関係におけるルール―幼児期の遊びとの関連―
・大学生とその恋人のアイデンティティが恋愛関係と友人からのソーシャルサポート取得に及ぼす影響 他<その他過去に卒論で取り上げられたテーマ>
中高生の学習意欲と学習方略、女子大学生が恋愛相手と結婚相手に求めるもの、被服行動とアイデンティティ、中高大学生の対友人不安感情と友人関係、幼児の箱庭表現、甘えと友人関係、など