臨床心理学分野紹介 本学ならではのカリキュラム

公認心理師と臨床心理士のダブルライセンス取得が可能
  • 公認心理師とは、国民の心の健康を保持・増進するために、保健医療、福祉、教育、その他の分野において、質の高い心理支援を提供することを目的として制定された心理専門職初の国家資格です。2017年9月に施行された公認心理師法に従って、本学でも2018年4月より、公認心理師のためのカリキュラムを学部と大学院で同時にスタートさせました。長年にわたる、臨床心理士養成指定大学院としての心理臨床実践と教育・訓練の実績を生かし、真の臨床実践力を身につけた臨床心理士・公認心理師を養成し、現代社会に貢献していくことが我々の本分であり、願いです。
  • 臨床心理士とは、心理学などの専門知識に基づいてカウンセリングや心理療法などを担う臨床心理の専門職であり、公益財団法人日本臨床心理士資格認定協会が認定する民間資格です。約30年の歴史と実績があり、有資格者は3万人以上、心理職としての社会的信頼を得ている資格です。活動領域は、事件、災害などにおける心のケアやスクールカウンセラー、医療・福祉等の現場と多岐にわたり、大学院修了後、試験に合格後、取得可能。5年に一度資格更新の審査があり、一定の質が担保されています。
  • 公認心理師・臨床心理士資格や資格取得のプロセスについては、以下サイトを参照
    https://h.kobe-c.ac.jp/p/cpp
臨床心理学分野の3つの特徴
30年以上にわたる
歴史ある相談機関での実習

本学「心理相談室」は、前身の児童相談室開室より30年以上にわたって心理相談を続けてきました。その経験を生かし、子どもや女性を中心に幅広い年齢層の多様な心の問題に取り組んでいます。院生は相談室スタッフでもある教員の指導のもと、この心理相談室で心理面接をじっくり学びます。また、子育て支援プログラムや講演会などの地域実践活動にも力を入れています。

人間科学研究科全体での
手厚い教育・研究のサポート

行動科学領域など、人間科学研究科の他領域の教員が、公認心理師・臨床心理士資格取得に必要な多様な領域の学習をサポートしています。研究科の院生と全領域の教員が一堂に会して研究を磨きあう合同演習など、研究支援も充実。さらに博士後期課程では、博士論文の作成や自立した研究者となるための指導にも力を入れています。

地域ニーズにセンシティブな
臨床実践を創造

「心理相談室」では個人面接のみならず「地域実践部」を設け、数々のアウトリーチ活動、子育て支援プログラムの実施、シンポジウム・講演会の開催等、地域のニーズにかなう活動を企画し、取り組んでいます。地域実践部の活動に院生が主体的に参加することで、臨床活動の創造力・実践力を身につけてゆきます。

カリキュラム
カリキュラム
学びの環境
附属心理相談室
面接室

主にカウンセリングを行う部屋です。緑の見える大面接室の他、思春期ルームなど、来談される方に応じてさまざまな部屋をご用意しています。

プレイルーム

主に子どもを対象に、遊びを通してプレイセラピー(遊戯療法)を行っています。玩具や砂場、滑り台など自由に遊ぶための部屋として充実しています。

PCIT(親子相互交流療法)
プレイルームと観察室

プレイルームで遊ぶ親子の様子を観察室からセラピストがライブコーチングします。

神戸女学院大学大学院 心理相談室
詳細はこちらをクリック

★相談室での事例担当は心理士(師)を目指す訓練生にとって必須の実践活動ですが、本学では上のような相談室の環境で行っています。ケース担当数は、M1で1~3事例を担当、M2修了時までに平均して3~5事例を担当します(年度による変動あり)

授業(実習・演習)
臨床心理地域実践実習(外部実習)報告会の様子

本学では、2年目に、5領域(医療・教育・福祉・産業・司法)の実習先にて実習を行っています。
実習生は、各自の実習体験や成果を、年度ごとに報告します。

臨床心理実習(ケースカンファレンス)の様子

院生は、自身の相談室の担当事例を発表し、教員・院生全体で検討します。相談申し込み事例の検討、受理(インテーク)後の検討も全体で行い、心理相談室での活動をきめこまやかに教育・指導しています。

院生の声
神戸女学院大学大学院に在籍する院生にインタビューを行いました。
履修内容やお気に入りの授業、神戸女学院大学の良いところなど、受験をされる方はぜひ参考にしてください。
M.Yさん
  • Q1.本学大学院での臨床のトレーニングは、どうでしたか
  • A1.苦労することも多かったですが、先生方はいつも今後、臨床に携わる私たちを思い、愛情を持って接して下さったと感じています。カンファレンスでは多様な学派の先生方にご指導頂けるので、基礎的なことはもちろんのこと、様々な臨床について広く学ぶことができました。
  • Q2.実際に心理相談を担当してどんなことを学びましたか
  • A2.ケース(担当事例)を振り返ることの大切さを学びました。ケースの中では逆転移など一人では気づけないこともたくさんあります。そのため、スーパーヴィジョンでの検討や、カンファレンスの発表を通して、客観的に考察することがとても大切だと感じています。
    またケースは一人だけで行なっているのではなく、相談室全体で支えられているということも学びました。クライエントさんにお会いするのはもちろん担当者一人ですが、お部屋を掃除してくださる清掃員の方、金銭の管理をしてくださる事務の方、ご指導くださる先生方、意見を交換する院生、全ての方の支えがなければケースを円滑に行うことができなったと思い、とても感謝しています
  • Q3.本学大学院での外部実習での体験はどうでしたか
  • A3.臨床活動には様々な形があることを学びました。外部実習では1対1ではなく多数の方と時間を過ごし、他職種の方とも連携させていただきました。また学校など、実際の生活の場での臨床活動にも携わらせていただきました。援助を必要とする方を支える方法は多様にあり、支援者が被援助者の方々の在り方に寄り添うことも大切だと感じました。
  • Q4.神戸女学院の良いところはどんなところですか
  • A4.校舎がとても綺麗で、忙しくて余裕のない院生生活に癒しを与えてくれていたなぁと改めて感じています。
    また心理相談室では、M1からインテーク面接を担当することができ、実際にクライエントさんの電話対応も教えていただけます。(そうでない大学院も多々あるようです。) 心理相談室主催のイベントの運営にも携わることができ、心理専門職を目指す上での臨床力だけでなく、社会人としての基礎を身に着けることができる場であると思います。私はその経験のお陰で、現在の職場でもとても助かっています。
  • Q5.最後に、受験生にメッセージをお願いします
  • A5.私は大学院生活を経て、人としても大きく成長できたと感じています。受験することを悩まれている方もいらっしゃると思いますが、きっと神戸女学院での学びは皆さんの力になると思います。皆さんが後悔のない、実りある時間を過ごせることを願っています。
◆M.YさんのM1時間割
<前期>
月曜日 火曜日 水曜日 木曜日 金曜日
臨床心理学基礎実習 人間科学合同演習
産業臨床心理学特論 臨床心理学特論a 臨床心理面接特論Ⅰ
臨床心理査定演習Ⅰ 特別研究Ⅰ
学校臨床心理学特論 犯罪心理学特論
集中講義 臨床心理家族特論、障害者(児)心理学特論、精神医学特論
<後期>
月曜日 火曜日 水曜日 木曜日 金曜日
臨床心理学基礎実習 人間科学合同演習
臨床心理学特論b 臨床心理面接特論Ⅱ
認知心理学特論 臨床心理査定演習Ⅱ 特別研究Ⅰ
相談事例担当
集中講義 投影法持論
◆M.Yさんのお気に入り授業
  • M1前期の犯罪心理学特論
  • M2後期の認知行動療法特論
T.Aさん
  • Q1.本学大学院での臨床のトレーニングは、どうでしたか
  • A2.初めの1年は、心理相談室の事務や係の仕事、電話番などで、毎日必ず心理相談室に行っていました。院生でありながらスタッフとしての仕事を務めることは大変でしたが、実際にケースを担当する前から、先輩や先生方のケースに触れる機会が多く、面接が身近なものに感じられました
    またケースカンファレンス(授業)では、自分なりに考えることや感じることを芯にもちながらも、さまざまな視点からの意見を聞き、改めて一歩引いて自分の考えをまとめる作業を、毎週繰り返しました。確実な答えはないというもどかしさと、もどかしさと向き合っていく覚悟を培いました。
  • Q2.実際に心理相談を担当してどんなことを学びましたか
  • A2.「聴き続けること」の難しさを学びました。臨床心理士(公認心理師)=話を聞くだけ、と捉えられることも多いと思います。しかし、目の前のクライエントさんのお話をお聞きしながら、そこで生まれる自分の感情を受け止め、それらを第三者の視点で見ている自分も忘れないようにと、心理臨床は想像以上に体力と気力を遣うものでした。
    私のクライエントさんに会っているのは私だけですが、その私を支えてくれる同期や先生方もケースを支えてくれています。心理臨床は、決して一人でできるものではないと学びました。
  • Q3.本学大学院での外部実習での体験はどうでしたか
  • A3.自分が被援助者に対して「一定でいる」ことと、アセスメントの大切さを学びました。被援助者の様子や反応に、自分が影響しているのかな?と考えることも大切ですが、別の何かがあって体調がよくないのかもしれず、こちらとは無関係な反応もあります。被援助者に挨拶したり一言話し掛けてみたりするなど、何があっても自分が変わらずにいることが大切だと考えるようになりました。
    さらに、被援助者の方の行動だけを見てあれこれ考えるのではなく、その方の行動の意味や背景を、アセスメントも参考にしながら考えていくことも学びました。
  • Q4.神戸女学院の良いところはどんなところですか
  • A4.大学がとにかく美しく、私にとっていつでも帰って来られる場所として在り続けることです。少人数で指導がきめ細かいところもとても良かったです。
  • Q5.最後に、受験生にメッセージをお願いします
  • A5.皆さんの頑張りが、皆さんの思う形で実を結びますように! 頑張りすぎず、頑張ってください
◆T.AさんのM2時間割
<前期>
月曜日 火曜日 水曜日 木曜日 金曜日
臨床心理地域実践実習Ⅰ 臨床心理実習Ⅰ 特別研究Ⅱ 人間科学合同演習
臨床心理実習Ⅱ 臨床心理地域実践実習Ⅰ
相談事例担当 相談事例担当
心理実践実習Ⅲ
集中講義 心理療法特論、臨床心理地域実践実習Ⅲ
<後期>
月曜日 火曜日 水曜日 木曜日 金曜日
臨床心理地域実践実習Ⅱ 臨床心理実習Ⅰ,Ⅱ 認知行動療法特論 人間科学合同演習
臨床心理地域実践実習Ⅱ
特別研究Ⅱ
相談事例担当 相談事例担当
心理実践実習Ⅲ
集中講義 臨床心理地域実践演習
◆T.Aさんのお気に入り授業
  • M1前期の「精神医学特論」
  • M1後期の「産業臨床心理学特論」
進路・就職
研修生制度
  • 博士前期課程修了後の1年間、多くの方が「研修生」として心理相談室での事例担当を継続しつつ、学外での仕事や資格試験に向けた勉強に励みます。
資格試験
  • 2020年度・2021年度・2022年度・2023年度「公認心理師」資格試験の合格率が100%!
  • 2021年度本学の大学院修了生6名が「公認心理師」「臨床心理士」両試験に
    全員合格
    しました!
  • 臨床心理士の平均合格率(過去5年)は70~80%

有資格者として、心理職のキャリアはここからスタートとなりますが、多様な領域での専門職としての活躍を応援しています。
<参考>公認心理師試験 全国平均合格率 53.4%(2020年度)、58.9%(2021年度)、48.3%(2022年度)、73.8%(2023年度)

2021年度
公認心理師・臨床心理士 資格試験
合格率100%
進路・就職先
進学
大学院博士後期課程進学
就職
医療・保健領域
総合病院、心療内科クリニック、保健所、精神保健福祉センターなど
福祉領域
公務員(地方自治体) 心理判定員(子ども家庭センター)、児童養護施設、療育施設など
教育領域
公立・私立学校スクールカウンセラー、教育センター(公立)相談員、大学学生相談室、大学教職員、大学非常勤講師 など
司法・矯正領域
警視庁(被害者支援)など
産業領域
自衛隊(心理職)
教員紹介
石谷 真一(教授)

【専門領域】 発達臨床心理学

  1. 関係発達における臨床問題とその支援
  2. 援助的関係における自己調整-相互調整の交互作用から捉えたセラピー・プロセスの研究
  3. 発達また心理臨床場面における養育者・援助者のメンタライジングの果たす役割と効果

【主な担当科目】 臨床心理学特論、臨床心理査定演習(TAT)他

教員紹介

國吉 知子(教授)

【専門領域】 家族臨床心理学・音楽療法・トラウマケア

  1. PCIT など、親子関係の改善や子育て支援の実践と研究
  2. 音楽療法によるマインドフルネスなど、心身の健康維持についての研究
  3. トラウマケア(EMDR やイメージ療法など) による心の回復についての実践的研究

【主な担当科目】 心理療法特論(PCIT)、臨床心理地域実践演習他

教員紹介

須藤 春佳(教授)

【専門領域】 子ども臨床心理学

  1. 児童期~思春期の友人関係(前青年期の同性親友関係「チャムシップ」に関する研究など)
  2. 遊戯療法の実践教育と事例研究
  3. 親子関係に関する臨床実践と研究(友だち親子、PCIT、子育て支援など)

【主な担当科目】 臨床心理面接特論( 遊戯療法)、臨床心理査定、演習(知能・発達検査)他

教員紹介

鶴田 英也(准教授)

【専門領域】 イメージの心理臨床学

  1. イメージにかかわる心理臨床(描画、箱庭、夢、身体)の実践と研究
  2. イメージの変容や転移関係からみた心理療法のプロセスの研究
  3. バウムのコスモロジー

【主な担当科目】 臨床心理面接特論、臨床心理査定演習(バウムテスト)他

教員紹介

若佐 美奈子(准教授)

【専門領域】 精神分析

  1. 心理療法家の成長と訓練のあり方
  2. 離婚家庭の子ども、虐待された子どもの精神分析的心理療法プロセス
  3. 自閉スペクトラム症児の親の受容プロセスにおける間主観性とアタッチメント

【主な担当科目】 臨床心理地域実践実習Ⅰ・Ⅱ、合同演習他

教員紹介

西嶋 雅樹(准教授)

【専門領域】 学校臨床心理学

  1. 児童期・思春期・青年期の心理臨床の実践と研究
  2. マンガやアニメなどからみる現代のこころに関する研究
  3. 心理臨床と教育の連携・接続に関する実践と研究

【主な担当科目】 臨床心理地域実践実習Ⅰ・Ⅱ,臨床心理実習他

教員紹介