人間科学部

卒業研究の紹介:河川水中のパラベンの測定【環境科学研究室】

津門川からの採水の様子

 環境科学研究室では水環境中に存在する様々な化学物質について研究をしています。今年度の卒業研究ではパラベンについて着目し、実験を行いました。パラベン(パラヒドロキシ安息香酸エステル)は人体への毒性が低く、カビや酵母の汚染に対して効果が高いことから安全性の高い防腐剤として食料品や医薬品、化粧品等に広く使用されています。パラベンには数種ありますが、一般的にはメチルパラベン、エチルパラベン、プロピルパラベン、ブチルパラベンがよく使用されています。排出されたパラベンは生活排水を通して下水処理場および河川へと流入すると考えられますが、その挙動についてはあまり調査されていません。そこで、神戸女学院大学の近くを流れる津門川の6地点から河川水を採水し、水中のパラベンについて調査しました。

 津門川は門戸厄神駅から神戸女学院大学へ向かう道に沿って流れ、大学の正門近くから西宮北口駅方面へと南下している河川で、周辺住民の憩いの場となっています。採水した河川水はポリマーを充填したHLBカラムに通水し、充填剤にパラベンを吸着させた後にアセトンで溶出し、GC/MS(質量分析計付きガスクロマトグラフ)により水中に存在するパラベンの種類と濃度を測定しました。津門川河川水からは前述の4種のパラベンとイソプロピルパラベンやイソブチルパラベンがいくつかの地点でわずかに検出されました。