人間科学部

遠隔形式で卒業研究発表会が行われました

発表者(一部)

本学科では、卒業論文の提出後、卒業研究発表会を開催しております。
卒業論文は、主に4年生の1年間に、所属ゼミの各先生の指導のもと、実験や調査によるデータの収集を行ったり、文献研究をしたりして、執筆されます。しかし、そこに反映されるのは4年生の1年間だけではありません。4年間積み重ねてきたことが反映される、4年間の集大成といえるものです。
一昨年度までは、卒業論文の要旨をプレゼンテーション形式で発表する口頭発表と、壁新聞のようにまとめて発表するポスター発表の2種類の発表形式で行ってまいりました。しかし、昨年度に引き続き今年度も新型コロナ対策のため、オンラインでの口頭発表のみ学科生対象で公開となりました。副査による口頭試問については、非公開で、同じくオンラインで行われました。

今年度の発表会は、2月2日(水)に開催されました。口頭発表に推薦された11人の学生が一人ずつ、1人あたり12分の持ち時間で、長い卒業論文の要点を簡潔に説明するプレゼンテーションを行いました。そして発表ごとに8分間、発表者が先生方の質問に答える質疑応答も行われました。それを、発表者以外の4年生と3年生以下の学生最大200人近くが見守りました。(写真はオンライン発表のイメージです。)

当日発表を行った学生の声を紹介します。

発表者の西辻さん
西辻さん
「卒業論文の執筆で、論理的思考の方法や分かりやすい文章の作成など、様々な能力がついたように思います。また、毎週のように面談をしていただいたゼミの先生や、コメントをくれたゼミの仲間のおかげで卒業論文を完成させることができました。周囲の人の力がどれだけありがたいものかということにも、改めて気づかされました」
発表者の椢原さん
椢原さん
「先生からのご指導と、他のゼミ生からの意見をいただくことで、自分にはない視点から考えることができました。卒業論文執筆を通して、1つの視点だけではなく、多角的に考えることで、様々な可能性を検討することができると感じました。また、自分なりの問題意識を持ち、客観的に物事を捉えることの重要性を学びました」
発表者の向濱さん
向濱さん
「卒業論文を執筆するにあたって、私は実験を行いました。コロナ禍での実験ということで、実験参加者の人数集めに苦戦したり、実験方法の試行錯誤を何度も繰り返したりなど様々な困難に直面しました。しかし、実験を終えて卒業論文が完成した際には、大きな達成感を味わうことができ、諦めないことの大切さを学びました」
発表者の道辻さん
道辻さん
「発達障害も知的障害も明確に基準を設けることは難しいとされています。知的障害グレーゾーンである『境界域の知能』に該当しても、障害者と認められない人の課題に対しての解決策を検討しました。学びたい・知りたい内容にこれだけ時間をかけて取り組む経験は初めてだったので、完成させた時の喜びは大きかったです」

これらの「学生の声」は、教員が手を加えていない、学生自身による「声」です。これらの「声」が示すように、心理・行動科学科で学ぶことは、心理学だけにとどまりません。世の中の物事と自分自身についての見方や考え方、そして考えたことの伝え方も学びます。学び方も学ぶので、卒業後もさらに自ら学ぶことができます。
今年度の卒業研究は、新型コロナが社会に及ぼす影響を視野に入れた内容がいくつか見られました。新型コロナ対策のために使用できない研究方法も出てくる中、それに代わる手段の試みも見られました。今年度卒業予定者の進路は、公認心理師を目指す大学院への進学だけではなく、他領域への進学から、心理学とは直接には関連しない職業への就職まで、多種多様です。
いずれの道へ進むにしても、大学生活のおよそ半分を新型コロナによって振り回されながらも粘り強く学び身に着けた見識や技能は、卒業生自身にとってもコロナ禍に見舞われた社会にとっても、困難に取り組む一助となることが期待されます。

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