対人関係心理学研究室
木村 昌紀教授
私たちは目に見えない、かたちのない“こころ”を他者に伝えたり、他者の“こころ”を理解するために、さまざまな手がかりを用いています。言葉はもちろん、表情や視線、しぐさや対人距離、化粧や被服等の手がかりを使って、“こころ”を伝え合っており、これを「コミュニケーション」と呼びます。
このコミュニケーションを繰り返すうちに展開するのが「対人関係」です。誰かに出会い、魅力を感じ、親しくなり、いざこざが起き、ときに関係が壊れます。「対人関係心理学」での学びが、日常生活の人と人のかかわりを紐解くヒントになればいいなと思います。


現代社会の変化の中で, 人と人との関わりの難しさや複雑さがあらためて注目されています。目に見えない, かたちをもたない“こころ”について, 私たちはどのように自分の“こころ”を他者に伝え, どのように他者の“こころ”を理解するのか。そのような繰り返しによって対人関係はどのようにしてはじまり, 深まり, 維持され, ときに終わるのか。このゼミでは,対人コミュニケーションや対人関係を研究します。さらに、コミュニケーションや対人関係と密接に関連するのが、こころの揺れ動きである「感情」です。喜びや悲しみ、怒り、驚きなどの基礎となるものから、妬みや恥ずかしさなどの複雑なものまで、感情は多岐にわたります。一見非合理に思える感情のもつ合理性や、その落とし穴を一緒に考えてみませんか。

大阪大学大学院人間科学研究科 博士後期課程 修了
大阪大学大学院人間科学研究科 行動学系共通助教
神戸学院大学人文学部 専任講師
神戸女学院大学人間科学部専任講師を経て現職に至る。
- 専門分野 社会心理学(特に対人関係心理学、感情心理学)
- 学位 博士(人間科学)
- 研究室 H-004室
- オフィスアワー 水曜日のお昼休み
- 個人webサイト http://m-kimura.net/
【受験生の方へ】
私は、心理学を学んで人生が変わったと思っています。心理学という学問に魅了され、この道を歩んで行くことを決めたのはもちろん、心理学を学んでいく中で多くの出会いがありました。心理学を教わった先生や同級生、先輩、後輩との関わりが、現在の私という人間を形作っています。みなさんにも心理学の面白さを知ってもらいたい。また、心理学の学びを起点にして、たくさんの人に関わってほしい。そして、人と人との関わりの中で学ぶことを、一緒に学んでいきましょう。
-
研究主題・研究業績を見る
<研究主題>
[基本的枠組]
-対人コミュニケーションと対人関係の心理学
-私たちはどのように“こころ”を伝えあうのか?
-対人関係はどのように構築され,深まり,ときに崩壊するのか?[具体的研究テーマ]
-対人コミュニケーションの基礎的な心理メカニズム
-第三者介入による対人コミュニケーション支援
-コミュニケーションの文化比較、異文化間コミュニケーション
-緊急事態のコミュニケーション
-コミュニケーション支援のツール<研究業績>
[著書]
(編著)
大坊郁夫 (監修) 谷口淳一・金政祐司・木村昌紀・石盛真徳 (編) (2016). 対人社会心理学の研究レシピ ―実験実習の基礎から研究作法まで― 北大路書房 (木村昌紀担当: 編集, 第Ⅲ部 Preview 対人コミュニケーションの研究 p.126-130, 第10章 対人コミュニケーション・チャネルの理解 p.131-143)(分担執筆)
木村昌紀 (2017). 「同じ言葉なのに伝えたいことが違う?」「鏡を見ているかのように、伝えあう」「近づくほどに見なくなる?もっと近くで見たくなる?」 谷口淳一・相馬敏彦・金政祐司・西村太志(編著). エピソードでわかる社会心理学ー恋愛関係・友人関係から学ぶ― 北樹出版. pp.40-43, 44-45, 48-49.木村昌紀 (2012). 第8章 協調するコミュニケーション 大坊郁夫(編) 幸福を目指す対人社会心理学 -対人コミュニケーションと対人関係の科学- ナカニシヤ出版 p.170-187
木村昌紀 (2010). 第4章 人間関係のコミュニケーション 藤森立男(編) 人間関係の心理パースペクティブ 誠信書房 p.55-70.
木村昌紀 (2009). 第9章 人と人とのかかわりのなかで“空気を読む” 金政祐司・大竹恵子(編) 健康とくらしに役立つ心理学 北樹出版 p.103-112
木村昌紀 (2006). 第12章 感情の表出とコミュニケーション 北村英哉・木村 晴(編) 感情研究の新展開 ナカニシヤ出版 p.223-241.
磯 友輝子・木村昌紀 (2005). 第3章 3者間会話場面における非言語行動の果たす役割 大坊郁夫(編) 社会的スキル向上を目指す対人コミュニケーション ナカニシヤ出版 p.31-86.
[翻訳]
Patterson, M. L. (2011). More than words: The power of nonverbal communication. Barcelona: Editorial Aresta. 大坊郁夫(監訳) (2013). ことばにできない想いを伝える -非言語コミュニケーションの心理学- 誠信書房. ((木村昌紀 担当章: 第3章 非言語コミュニケーションの構成要素とパターン p.28-50, 第4章 基本的決定因 p.51-75, 第5章 情報の提供 p.76-95, 第10章 システムズ・アプローチ p.184-202)[学術論文]
木村昌紀・山本恭子 (2017). メール・コミュニケーションにおける顔文字や表情絵文字の交換過程が対人感情に及ぼす影響 感情心理学研究, 24, 51-60.[pdf]木村昌紀・塩谷尚正 (2016). 緊急通信の心理学ー119番通報で、通報者と通信司令員はどのようにコミュニケーションを行うのか?- ヒューマンサイエンス, 19, 9-16.
木村昌紀 (2015). 対人コミュニケーションの観察に基づく親密性の推論 心理学研究, 86, 91-101.[pdf]
木村昌紀・磯 友輝子・大坊郁夫 (2012). 関係に対する展望が対人コミュニケーションに及ぼす影響 -関係継続の予期と関係継続の意思の観点から- 実験社会心理学研究, 51, 69-78.
木村昌紀・大坊郁夫・余語真夫 (2010). 社会的スキルとしての対人コミュニケーション認知メカニズムの検討 社会心理学研究, 26, 13-24.
木村昌紀 (2008). コミュニケーションの内と外 -対人コミュニケーションの行為者と観察者- 繊維製品消費科学 49, p.20-26.
Masanori Kimura, Ikuo Daibo, & Masao Yogo (2008). The study of emotional contagion from the perspective of interpersonal relationship Social Behavior and Personality, 36, 27-42.
Masanori Kimura & Ikuo Daibo (2006). Interactional synchrony in conversations about emotional episodes: A measurement by “the between-participants pseudosynchrony experimental paradigm” Journal of Nonverbal Behavior, 30, 115-126.
木村昌紀・余語真夫・大坊郁夫 (2005). 感情エピソードの会話場面における表出性ハロー効果の検討 感情心理学研究, 12, 12-23.
-
卒業論文題目
【2014年度生】
・服装の類似性が対人魅力に及ぼす影響
・口コミの発信者が意思決定に及ぼす影響
・シャイな人は苦手な相手に対して受容的なつきあい方をするか
・言葉で説明する自信がない人ほどジェスチャーをするのか
・他者との関係性と伝達手段によってほめ言葉による状態自尊心の変化はみられるのか
・内向的な人でも発言量は事前準備によって増加するのか
・関係段階とコミュニケーションスキルが友人関係の良好性に及ぼす影響
・会話者双方の性別及び文末形式のジェンダーが印象形成に及ぼす影響
・だてマスクを使用すると話しやすくなるのか?
・関係の対立が見られるチームでも目的を共有していれば良いパフォーマンスは出来るのか
・ペット飼育がレジリエンスに及ぼす影響
・きょうだいの有無と出生順位が恋愛関係の排他性に及ぼす影響
・加害者による道徳的主張は第三者の評価を変容するのか【2013年度生】
・きょうだい構成がおしゃれの関心に及ぼす影響
・人はなぜ他者からの援助提供を遠慮してしまうのか
・ネガティブな相談内容を反応豊かな聞き手には開示しにくいのか
・非関西弁話者の関西弁は関西弁話者に好まれないのか
・社会的拒絶が自己開示に及ぼす影響
・なぜ人はネイルをするのか
・対人関係の先延ばしにはどのようなパターンがあるのか?
・サービス場面における謝罪表出―誠実な謝罪と道具的謝罪の比較―
・なぜ先延ばしで睡眠を選ぶのか
・感動経験が援助行動に及ぼす影響
・シャイな人は再会した友人に対して抑制的になるのか
・妬まれた相手に自己卑下で返すのは効果的なのか?
・無言のタイミングと聞き手の感情が説得に及ぼす効果【2012年度生】
・人間関係のスタイルによって幸福感の質は違うのか
・説得場面における受け手の感情と希少性メッセージが購買意図に及ぼす影響
・「お揃い」が恋愛関係に及ぼす影響
・店舗の種類と言葉遣いが印象形成にどのような影響を及ぼすか
・SNSへの写真投稿と自己との関連
・「目は口ほどにものをいう」のか-目の情報を手がかりにした性格判断の検討-
・親友にはすべてを打ち明けるのか
・感情エピソードの会話場面における聞き手の反応のタイミングが話し手に与える影響
・本当にシャイな人は対人関係において不利なのか
・表情と言語での自己呈示が関係継続動機に及ぼす影響
・電車内の混雑度と車両の種類が社会的迷惑行為の認知に及ぼす影響
・ダンスサークルにおけるチームへのコミットメントがパフォーマンスに与える影響
・コミュニケーションツールが自己開示の満足度に及ぼす影響【2011年度生】
・筆記によって感情的摂食傾向は低減するのか
・LINEの「既読」通知前後の経過時間が受信者の心理的負担に及ぼす影響
・人はなぜ宝石を身につけるのか
・他者との関係性が不一致表情の表出・受容に与える影響
・女性の髪の長さが印象形成に及ぼす影響
・痩身願望と友人との共食が菓子の摂食量に及ぼす影響
・どのような被服行動が恋愛意識・行動に影響を及ぼすのか
・ゴルフにおける観察学習の効果
・日本と韓国のドラマで感情表現にどのような違いがあるのか?
-ドラマ「イタズラなKISS」を用いて-
・関係性によって被服の色選択と呈示したいイメージは異なるのか
・自己開示を促進するカフェ店舗環境の検討
・チャットにおける円滑なターンテイキングの促進要因の検討
・人はなぜピアスをつけるのか【2010年度生】
・親からの干渉が青年期の選択能力と選択意欲に及ぼす影響
・シンデレラ・コンプレックスが社会的適応に及ぼす影響
―対人関係、幸福感、就業動機の観点から―
・なぜ人は古着を着るのか?
・なぜ日本人女子大生が韓国風メイクをするのか?
・ポージングが対人的積極性に及ぼす影響
・化粧の類似性が対人魅力に及ぼす影響
・異性との対人関係に関する女子校出身者と共学出身者間比較研究
・ポジティブな気分の誘導が他者に対する心理的余裕に及ぼす影響
・きょうだい関係の自己開示に関する研究
・香水が印象形成に及ぼす影響―親しみやすさと個性に注目して―
・笑顔の種類が好意と説得に及ぼす影響
・無言の時間が説得力を高めるか
・「臨床心理士」と「カウンセラー」という言葉がもつイメージの差異についての検討―大学生を対象として―【2009年度生】
・食卓環境の色が味覚に及ぼす影響―テーブルクロスに注目して―
・浮気されると人はどうするのか?―性格特性と対処行動の関連性から―
・「おたく」ステレオタイプと自尊心の関係
・大学生の昼食行動に関する意識調査―1人飯をどのように考えるか―
・性格によって求める癒しは違うのか?-楽観性、外向性および誠実性の観点から-
・自己卑下呈示に対する受け手のホンネとタテマエに関する研究
・女性同(両)性愛者のコミュニティ参加が精神的健康に及ぼす影響
・学習場面における「好きな音楽」聴取が作業効率に及ぼす影響
・どんな外食環境が自己開示を促進するか
・謝罪メールに対する返信の印象―顔文字有無の影響―