人間科学部

社会心理学研究室

小林 知博教授

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  • 自己(自己評価、自己呈示、自己制御など)
  • 健康行動
  • 社会的認知(潜在的認知)
  • ステレオタイプと偏見

私達人間は1人では生きていけず、常に社会(集団)の中で行動しています。その行動は、本人が自分のことをどう思うか(自己評価)、周りの人にどう思われたいか(自己呈示)、自分の目標に向かってどのように「やりたいこと」を制御して「やるべきこと」に向かって行くか(自己制御)、に大きく左右されます。また人は「遊ばず勉強やトレーニングをしたい」「健康的でありたい」「詐欺やセールストークにだまされたくない」「他者を嫌いになりたくない」「他者への偏見を持たずフェアな人間でありたい」などと思っているものの、つい意識せずに意図しない行動を取ってしまいます。それらの問題がなぜ起こってしまうのか、より望ましい行動を取るにはどうしたら良いか、について、実験や調査データから多角的に迫ります。

社会心理学は、主に次の3段階を経て「人の行動の予測」を目指す学問です。第1段階として、ある人(や集団)が「なぜこういう行動を取ったのか」を検討します。第2段階として、その行動が一般的にどういう時に起こるのかを考え、第3段階として「社会がより良くなるようにするにはどうすればよいか」を考えていきます。つまり、行動が望ましいものである場合( 例:目標のために遊びを我慢して勉強や部活の練習をする、健康的な生活をする、他者をえこひいきせず公平に接する、など)には「もっとその行動を頻繁にさせるにはどうすればよいか」を考え、行動が望ましくないものである場合(例 : 目標に反する行動を取る、ルール違反をする、特定の他者を優遇・排除してしまう、など )には「その行動をやめさせるにはどうすればよいか」を考えていきます。

本研究室では上記キーワードを中心に研究してはいますが、卒業論文では下記の「卒業論文題目」の箇所にあるように、ゼミ生がそれぞれ独自の観点から問題だと思う点について検討・研究しています。

小林 知博 教授 Prof. KOBAYASHI Chihiro
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大阪大学大学院人間科学研究科博士後期課程修了。青山学院女子短期大学専任講師、本学准教授を経て現職に至る。

  • 学位   博士(人間科学) 
  • 専門分野 社会心理学

【受験生の方へ】

「心理学は理系の人が進む分野ですか、文系の人が進む分野ですか」とよく聞かれます。答えは「人に興味がある人であれば、どちらの人でも進める分野」です。ただし現代心理学の特徴は、人間の行動について「仮説を立て、実験や調査をしてデータを取り、立てた仮説を検証する」というものなので、できれば数字が嫌いでない方が良いでしょう。また、いろいろな人間の行動について興味を持って取り組むことになりますので、好奇心がある人の方が向いているかもしれません。

また、「心理学を大学で学ぶと人生にどのように役立ちますか」という質問もよく聞かれます。心理学を学んでも、占いのような「性格・相性判断」や「相手が何を考えているか」を見るということはできません(笑)が、「データをもとに他者の行動を事前に推測する」ことはできるようになります。そのメカニズムを知ることはとても楽しいです。ぜひ大学に来て学んで下さい。