人間科学部

精神分析研究室

若佐 美奈子准教授

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  • 無意識
  • アタッチメント
  • 親子関係

 現代社会は、一見、便利で豊かであるように見えます。しかしながら、心理療法を求める方は多く、今後AIが発達して多くの職業がなくなっても、心理療法家は職業として成り立ち続けるだろうと言われています。それは、人の複雑なこころを真に理解するのに、マニュアル的対応では不十分で、高度で専門的な技術や知識、人間性が必要だからです。精神分析は、無意識を想定し、こころの複雑さや不可解さに向き合います。また、対人関係の基礎がアタッチメントにあることも重要です。
 私は、精神分析的理解を、様々な心理的問題の解決に応用できればと思います。例えば、親子関係・対人関係や性格の悩み、不登校、各種の神経症症状、親の離婚後の子ども、被虐待児の援助などです。

 私が専門とする精神分析的心理療法では、治療関係において、リラックスした雰囲気や一時的な安心・保証を提供することよりも、無意識の交流を重視し、意識ではコントロールできない、より深く大きな情緒の流れを注視します。
 なぜなら、励まされて元気が出たり安堵したりするという人間的な触れあいは、専門家との治療以外で手に入るものだからです。深い悩みを抱えておられる方には、こころの真実に触れることが、生きる勇気、問題に立ち向かう力になり得ます。
 ですから、例えば、子どもを愛せない親に対して道徳的説得や一時的な激励をすることはしません。子どもを自然に愛することができないという背景を、ともに考えていきます。親自身が、その親から愛されなかったという経験を語ることはよくありますが、原因探しに終始するのではなく、その時に感じておられた哀しみや怒り、絶望をともに考え、感じていきます。このような丁寧なプロセスがこころの変容を導きます。
 このように、人は生きていると、深い哀しみや傷つき、怒りや矛盾した気持ちなどで苦しむことがあるものです。そのきっかけや原因は、生まれ育った環境や生まれながらの素質、危機的な状況や災害など、様々です。私は、心理療法のなかで、苦痛や不具合の一時的な解決に終始するのではなく、その方が、ご自分の嘘偽りのない気持ちを丁寧にみつめるなかで、哀しみや苦しみを受け止められるように、それでも生きていけるように援助するセラピーの方法について研究しています。
 本研究室では、学生さん自身が探求したい主題を、精神分析理論を用いて深めていってほしいと思います。

若佐 美奈子 准教授 WAKASA Minako
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大阪大学大学院人間科学研究科臨床心理学専攻 博士後期課程 単位取得退学
千里金蘭大学人間社会学部(現代社会学部)専任講師、准教授
京都大学大学院教育学研究科臨床教育学専攻 博士後期課程修了、博士号取得
大阪大学大学院連合小児発達学研究科 子どものこころの分子統御機構研究センター 特任准教授
現職

専門分野:精神分析、臨床心理学、臨床心理実践指導学
学位:博士(教育学)
その他:
医療分野(総合病院精神神経科、大学病院小児科、看護師の心理相談)、
教育分野(中学・高校スクールカウンセラー、教育相談、教員心理相談)、
福祉分野(児童相談所、児童養護施設、施設心理士スーパーヴァイザー)、
司法分野(両親の離婚時の子どもの心理援助)など、
各種領域での幅広い臨床経験と、各種専門家へのコンサルテーション経験を持っています。

【受験生の方へ】

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