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大学院教員改革支援プログラム 地域実践活動を創造できる臨床心理士の養成

神戸女学院大学大学院人間科学研究科では、1997年に臨床心理学分野を設置。現代社会における多様で複雑な心理・身体・行動的問題の解明と、そうした問題に苦しむ人への心理学的支援の方法の探求に取り組んできました。同時に心理相談室を開設し、支援を求めておられる方への援助に、教員と大学院生があたってきました。
こうした甲斐あって、2002年には博士前期課程が、(財)日本臨床心理士資格認定協会より臨床心理士養成大学院第一種指定を受け、卒業生を臨床心理士として数多く輩出しています。

大学院のカリキュラムを通じてこれらの分野の専門的知識を身につけ、さらにインターンシップ制度、サイエンス・アウトリーチ活動、サイエンスのための語学研修、大学院セミナーなどを通じて実践的な科学の精神を培うことで、地域社会の中で自立的に問題を解決することのできる女性科学者を養成します。本取組は、文部科学省の2007年度大学院教育改革支援プログラムに採択されました。

カリキュラム

博士前期課程1年次

臨床心理学分野に入学した大学院生は、まず必修科目として「臨床心理学特論」と「臨床心理査定演習」を通年で履修します。これらの科目で現代社会に生じる臨床問題の多面的な理解の仕方、クライエントの心理学的理解と事例の定式化について学びます。さらにこれらを補完する形で、「心身医学特論」「精神医学特論」「生涯発達心理学特論」などの講義科目を履修し、心理臨床の近接領域についての知識を習得して、他領域との連携・協働を図る準備をします。

一方、実習科目としては「臨床心理基礎実習」を履修します。これは心理面接のための基本的な態度や技能を体験的に学ぶことを中核としていますが、それに加えて、地域の心理臨床的ニーズのリサーチや関係機関とのネットワーク構築を新たな実習内容に加えます。
また、これらの学習体験を研究活動として捉えなおし、修士論文を作成するために「臨床心理学特別研究I」では個別に、「人間科学合同演習I」では 他分野の院生・教員も交えて集団的に、研究指導を行います。

博士前期課程2年次

2年次では必修科目として「臨床心理面接特論」を履修します。ここでは心理的健康に向けた予防・啓発的技能訓練を含む、数々の実践的な面接技法を学習します。これを補完すべく「投影法特論」や「心理療法特論」などの科目を履修して、プレイセラピーや非言語的媒体を用いる心理療法についての理解を深めます。また「臨床心理比較文化特論」によって、国際化のニーズにも応えるべく、英語を用いた臨床実践の進め方や異文化のクライエントとのかかわりについての留意事項を学びます。

実習科目としては、「臨床心理実習」で実践を通じて心理面接の進め方を学ぶほか、教員のアウトリーチ活動に同行・補佐して地域への心理学的支援の実際を学びます。これに加えて「臨床心理地域実践実習」を履修し、地域の心理学的支援の現場に1年間を通じて定期的に参加し、実際にそこでの職務を果たしながら、地域の臨床ニーズに取り組みます。
さらに1年次と同様に、「臨床心理学特別研究Ⅱ」「人間科学合同演習Ⅱ」を通して、研究活動の指導を受けます。このようにして、2年間の学びの集大成として修士論文を作成します。

研修生制度

臨床心理学分野では、博士前期課程修了後1年を限度に、研修生として大学院に籍を残し、心理相談室の相談スタッフとして相談活動に従事することを認めています。研修生は心理相談室のアウトリーチ活動にも参加し、チューターとして教員と大学院生とを橋渡ししたり、大学院生の相談役にもなって実習の円滑な履修をサポートします。これを通して、研修生もいっそう実践的な臨床技能を身につけていきます。あわせて秋に実施される臨床心理士資格試験に向けた準備も進めていきます。

活動内容

地域実践活動を創造できる臨床心理士の養成 活動報告書(2010年3月)PDF

大学院教育改革支援プログラムとは

「大学院教育改革支援プログラム」[大学院GP(Good Practice)]は、文部科学省によって2007年度より開始されました。
産業界をはじめ社会の様々な分野で幅広く活躍する高度な人材を養成するため、大学院における優れた組織的・体系的な教育の取組を選定・サポートするものです。