人間科学部

授業紹介:アリとスミレの共生関係について調査をしています【生態学実習Ⅰ】

3年生で履修できる「生態学実習Ⅰ」の授業では、植生・昆虫・野鳥の3タイプの生物群集を対象に、それぞれに応じた生態学的な研究テーマを設定し、キャンパス内で実際に調査を行うことで、生物的自然の見方や生態学的な考え方、基礎的な調査技法、PCを用いたデータ解析法やレポートのまとめ方等を修得します。

今回は、昆虫篇の授業について紹介します。

夏が近付き、キャンパスの中庭はとても美しい緑に輝いています。この中庭で、アリとスミレの共生関係について検討するための調査を行っています。

スミレの種子にはエライオソームと呼ばれるアリを惹きつける成分を含む付属体(脂肪酸、 アミノ酸、糖からなる化学物質)が付いています。アリはスミレから種子を巣に持ち帰ります。そして、エライオソームだけをエサとして利用し、種子を巣内や巣外に棄てます。アリが種子を運んでくれることによって、スミレの種子は捕食者に食べられにくくなったり、種子の発芽率が上がるなど、スミレにとってメリットがあります。

このように、アリとスミレはお互いにメリットのある相利共生の関係にあると言えます。このことから、アリが多い所にはスミレも多く、逆にアリが少ない所はスミレも少ないのではないか?と考えることが出来ます。

調査では、まずアリを採集するためのベイトトラップを仕掛けます。班に分かれて、中庭のスミレが生育している所に、1m間隔でろ紙を置き、ろ紙の真ん中にツナを置きます。ツナには、エライオソームのアリ誘因成分と同じものが含まれています。近くにアリがいれば、すぐに集まってきます。

約30分ほど時間を置き、集まるアリを採集します。また、トラップを設置した区画のスミレ類の株数も数え、アリの数とスミレの株数との関係を調べます。

今回の実習では、トビイロシワアリやクロヤマアリなどのアリを採集することができました。

次回は、今回の調査結果をまとめてレポート作成をしていきます。大学の中庭では、アリとスミレは共生していると言える結果になるのか、気になりますね。